「智」「情」「意」の三者が各々権衡を保ち平等に発達したものが完全の常識であろう。
(【渋沢栄一伝記資料】青淵百話)より
現代の言葉で言うと
知恵、情愛、意思、この三つをバランスよく育て、備えれていることが、完全な常識があるということである。
常識は知識の量だけではかれない
一般的な常識がない人とは
一般的に、 常識が無い人とは知恵が足りない人のことを指します。しかし、渋沢は知恵だけでその人の常識をはかることはしません。
知恵も使い方によっては悪知恵となる
知恵がなければ、物事の善悪の見極めも、利害損得も、因果関係の推測もできません。
しかし、場合によっては、
知恵は悪用され、自己中心的な目的を遂げるためだけに活用されることもあるでしょう。これを
悪知恵といいます。
知恵を正しく使うために
この知恵を正しく使うために「
情愛」が必要です。
情愛とは「なさけ」「いつくしみ」を持つことであり、相手を思いやることで、知識を相手のためにも正しく使うことができるようになります。
しかし、「なさけ」「いつくしみ」を行き過ぎると、判断力が鈍ります。そこで「
意思」が必要なのです。
自分の意思をしっかり持ちつつ、相手のことも考えて、知恵を生かす。
どれが強すぎても、正しい判断はできません。3つのバランスがとれてこそ、常識的になれるのです。