私は父の名代で参りましたゆえ。家に戻りまして父に申し伝えた上またお受けにまかり出ます。
渋沢栄一
この言葉の背景
お代官さまから、御用金の申し付けがあり、いつもは父親がいくはずだったがその日は別の用事があり、栄一がいくことになった。
お代官様の話をただへぇへぇと聞き、頭を下げるだけであったが、栄一は500両を御用金として申し付けられた時、あろうことか「父親の代わりに来たので、父親に確認させてください」と一旦話を保留しようとしてしまった。
代官はこれに激怒して、栄一は切られそうになるが、なんとか叔父(宗助)から頭を無理やり下げさせられて、ことなきを得た
御用金とは
江戸時代、江戸幕府・藩・旗本などが財政窮乏を補うため臨時で農民、商人などに課した金である。なぜ必要なのか、どのように使われるのかなどの説明は一切なく、頻繁に大金を要求されるので、農民や商人の不満の元となっていた。
500両の現在の価値は?
1両は現在の価値にして13万円程度、なので500両は約6500万円という大金である。そんな大金を説明もなく要求されたら、誰だった断りたくなるが、その時代は代官が言うことは絶対。栄一の父も「いかに道理を尽くそうが仕方のないこと。それがすなわち泣く子と地頭だ」といい、翌日に支払ってくるように諭す。
この言葉に関連する栄一の名言
「悪を改め善と為すこと・・・」
「正しい通りは主張すべき」
「心にもないことは言わない」
「些細なことでも納得できなければ断るべき」
「信任を失った経営者は潔くその職を去れ」