格差がない社会は元気がない社会だ

富の分配平均などは思いも寄らぬ空想である。要するに富むものがあるから貧者が出るというような趣旨の下に、世人がこそって貧者をはいさいするならば、いかにして富国強兵に実を拳ぐることが出来ようぞ。


(【論語と算盤】算盤と権利)より

現代の言葉で言うと

人は富を平均に分配されるべきであると主張するのは、絵空事だ。「富める者がいるから貧しい者が生まれる」という考えで富める者を排除しようとするならば、国を富ませることも強くすることもできるはずがない。

一人ひとりが豊かになりたいと願う心が、国を元気にする

人は皆違っているのに富だけ同じにすることはできない

格差は争いを生みます。また国民全員がお金持ちになれるとしたら、それは素晴らしいことです。

しかし、人には、勤勉さ、体力、能力、そして感性の差異があります。それぞれの個人に差異があるのですから、その得る富にも差が生じるのは当たり前のことです。

弱者への本当の支援とは

「富を平等に分配し、貧しいものを無くそう」と考えるのは、本当に弱者のためになるのでしょうか。

渋沢は慈善事業も積極的におこないましたが、富を分配するのではなく「弱者が自立できること」を目指しました。弱者が強者、勝者になれるように応援する社会。そんな世の中のほうが、健全で明るく、向上心に富んでいます。

国の「元気」や「富」とは、このように、国民の一人ひとりが「元気に」「富」を求める社会が生み出すのです。

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