人の安宅は「仁」の一事に帰着する。一切の私心を挟まずしてことに当たり、人に接するならば、心中常に綽々たる余裕を保っていられる
(【渋沢栄一訓言集】処事と接物)より
現代の言葉で言うと
心安らかに生きるには、思いやりを持つことだ。自分の利益は忘れて物事を処理し、人に対応すれば、自分の心はいつも安らかに余裕を持っていられるものだ。
「仁」の意識があれば、私心を忘れられる
「仁」とは「思いやり」である
仁とは、渋沢が愛した「論語」において、もっとも重要視されている概念です。
しかし、孔子は「仁」がなんであるかを具体的に説明していません。ただ孔子の言葉の解釈からすれば、仁とは、他者の心中を思いやることであり、深い人間愛を基本とするものといえます。
自分の下心や欲を交えることなく、相手を思いやる気持ちだけで人に接することができれば、自分に何の恥じるところもなく、ゆったりと心に余裕を持って事にあたることができます。
思いやりと余裕の相乗効果
相手を思いやる気持ちだけで接することで、自分自身に余裕が生まれてくれば、更に人に対して、思いやりを向けることができるようになります。
一方、悲観的で相手を思いやる余裕が無い人のことを渋沢は「悲観的な人は残酷である」と表現しています。
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心から相手のためを思い行動する難しさ
小学生でも「相手を思いやることの大切さ」は知っています。しかし、実際に心から私心を捨てて人に尽くすのは、かなり難しいことでしょう。
ビジネスマンであれば、ついつい自分の利益を先に考えてしまうかもしれません。
それでも 常に「仁」を意識し続けることができれば、少しずつ私心を忘れられるはずです。