情は一の緩和剤で、何事も此れの一味の調合に依つて平均を保ち、人生のことに総じて円満なる解決を告げてゆける
青淵百話より
現代の言葉で言うと
情は衝撃を吸収する緩和剤である、人生に起こる問題はすべて情愛によってバランスのとれた解決をおこなうことができる
知識や知恵を活かすためには情は欠かせない
知識と知恵の違い
知識はただ知っていることであり、知恵は知っているだけでなく、それを活かすことがきる能力のことです。
栄一は知識も知恵も、お金と同様で自分だけが保有して独り占めするものではないと説いています。
情の無い社会は生きずらい
お互いがお互いを突き飛ばして、蹴落とす自分勝手な行動が常識となるようでは、ギスギスとした息苦しい社会になってしまいます。
過去記事にも書いていますが、渋沢は競争が悪いというわけではありません、むしろ積極的に競争することをすすめています。
しかし「競争がフェアプレイ」であること、「それぞれの気持ちを尊重する情の姿勢があること」が大前提です。
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多様性を認めよう
人と人の間の関係で情を活かし、円満であるからこそ、人間は多様な文化や社会をここまで築くことができました。
情なき人間社会は、内外の衝突が絶えることなく、いずれ偏った勝者しか残らない世の中になるでしょう。多様性のない、偏った社会は、案外脆いものです。
多様性に寛容になることで、しなやかな社会となり、強くてみんなが生きやすい社会となるのです。