富は卑しいものではない

孔子の言わんと欲するところは、道理をもった富貴でなければ、むしろ貧賤の方がよいが、もし正しい道理を踏んで得たる富貴ならばあえて差支えないとの意である。


【「論語と算盤」仁義と富貴】より

現代の言葉で言うと

孔子が説こうとしたのは「心正しい方法で得た地位でないなら、貧しいままの方がよい」しかし「正しい道理にの取って得た富や地位なら、もっていても何ら恥じることはない」ということだ。

個人が豊かになって、国も豊かになる

武士道では商人が軽蔑されていた

渋沢栄一が生きた時代は、 士農工商という階級制度が一般的で商人が軽蔑されている時代でした。

武士は国家のために命までも差し出す覚悟があり、崇高であるが、 商人は買った値段よりも高い値段で販売するので、人を騙していると考えられていたのです。

現代でも、武士道のなごりでお金の話を恥ずかしいと考える人はいます。そして「守銭奴」「金の亡者」のようにお金持ちを蔑む風習が残っているのも事実です。

渋沢栄一も子供のときから武士になることを夢見ていたので、商人に対してはあまり良いイメージは無かったのではないでしょうか。

渋沢栄一が商人についての考え方を変えた瞬間

商人は卑しいものだ、という考え方を根本から覆される出来事が起こります。それは渋沢栄一がパリ万博使節団として海外を視察しているときにおこります。

渋沢栄一はベルギー国王であるレオポルド一世と話をする機会があり、そのとき 国王自ら商談をおこない、鉄を購入するよう勧められたからです。

武士がお金のことを語るのは卑しいと考えていた渋沢栄一は、国王自ら商談に加わることに非常に驚いたそうです。

この出来事があったおかげで、渋沢栄一は武士の道ではなく、商人の道を目指すようになります。

お金を稼ぐことが目的になってはいけない

なぜ現代でも「守銭奴」「金の亡者」と、お金持ちの人を軽蔑する人がいるのでしょうか?

一つにはお金持ちへの嫉妬心もあるかと思いますが、 お金持ちのお金の稼ぎ方にも問題があるのかもしれません。

「お金を稼ぐためには手段を選ばない」このようにお金を稼ぐことだけが目的になってしまい道を踏み外してしまった人は大勢います。それこそ毎日のように不正取引、詐欺、汚職などの問題がニュースで取り上げられています。

だからこそ、渋沢栄一は「論語と算盤」という本で商人には道徳心が必要だと説いたのです。

渋沢栄一の代表作「論語と算盤」の現代語訳版


そして、 お金は理想を実現する手段に過ぎません。 渋沢栄一は日本を豊かにするという理想がありました、その手段として正しい方法でお金を稼ぎ、日本のために使いました

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あなたはどんな理想を持っていますか?その理想のために正々堂々と正しい方法で稼ぎ、正しく使い、世の中をよりよいものにしていきましょう。 正しい方法で得た富は、世の中に貢献した証であり、誇ってもよいものなのです。

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