強情を元気と誤解するな

人と争って自分が間違っておっても強情を張り通す。これが元気がよいと思ったら大間違いである。


【「論語と算盤」立志と学問】より

現代の言葉で言うと

人と争ったときに、たとて自分が間違えていても、我を通す。それは「元気がいい」というのとはまったく別ものである。

柔軟性と一貫性の両立

この言葉は何事にも柔軟に対応することの大切さ、が説かれています。
自分が間違えていたときは素直に認め、謝罪する。自分よりも身分の低い人であろうと、自分より素晴らしい人には話を聞きにいく、そんな謙虚で柔軟な態度を渋沢栄一は生涯を通しておこなっていました。

争いを避けなかった渋沢栄一

柔軟な思考ができる渋沢栄一でしたが、自分が正しいこと思うことに対しては、論理的に説明し、それでも相手が納得しない時は争いになっても仕方がない。という考えをもっていました。

現代では、自分が正しいと思っていることでも、相手に合わせることで争いを避け、平和が一番と考える人が増えてきたように思えます。それは一見、柔軟な大人に見えますが、ただ争いを恐れているだけではないでしょうか?

自分の信じている信念があれば、言動に一貫性が生まれます。しかし、争いが怖くて相手に合わせているだけの人は、相手の言動に左右され、言動に一貫性が生まれません。これでは人生、ビジネスで一番大切な「信用」を失うことになります。

信用得るためには 「争いを避けない」選択肢も持っておく必要があります。

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本当の元気とは

「元気があれば何でもできる」これは有名なプロレスラー、アントニオ猪木さんの言葉です。意味合いが違うかもしれませんが渋沢栄一も人生やビジネスで豊かに生きるためにはまず「元気が必要」だと考えていました。

ここでいう「元気な人」とは
1.自分の力で果敢に行動し、自分の信念や理想を実現していく人
2.自分をより高めようとする情熱も持つ人

のことです。

世の中では、飲み会で全く話さない人を「元気がない」と言ったりしますが、渋沢栄一はそのように考えていませんでした。

「元気がない人」とは
1.信念や理想を実現させようと思わない人、それに向かって行動しない人
2.自分をより高めたいという情熱を持たない人
を元気がない人と言っていたようです。

本当の元気を手に入れる方法

元気がある人は「向上心と情熱をもって理想を実現しようと行動している人」です。渋沢栄一からみれば「元気がある人」と「元気がない人」の違いは心持ち一つであり。情熱も持つためには「感動すること」「欲を持つこと」、心を元気に保つには「細かいことにこだわりすぎないこと」など過去記事ですでに書いていますので、よかったら参考にしてみてください。

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